今回の展示は、まずタイトルが決まっていて、
テーマの色が決まっていて、
そこにどんどんストーリーを落とし込んでいく、という方法で進められています。
「にっし」の方にも少々書いてますが、今回の展示の場所は染物の町です。
だから町の名前を取って、(少し当て字をして、)今回の展示のタイトルを決めました。
もし、此処で展示が出来るなら、この名前がふさわしいだろうと。
そして会場は、記憶がおぼろげな頃に通っていたお店です。
4半世紀前くらいによく食べていたメニューが、今も名前を連ねてる。
僕にとっては、原点とも呼べる様な処、です。
ずっと昔に引き離されて、戻れる保証なんて無かった。
自分の足と自分の意志で、ようやく帰れる様になった時でも、
あの町が同じ姿を留めているかどうか、不安で仕方なかった。
それでも、確かにそこには同じ空気が流れていて、
ずっと手に入れられずにいたものが、溢れている。
観光とか、派手な町でもなくて、ここには何もないと言える様な町だけれど、
大切な場所が在り過ぎる町、です。
この町に育たなかったら、僕はきっと、描けていないと思う。
沢山、恩を受けて来た。
返せる保証が無いなら、せめて贈りたい。
ここまで色と絵達を支えてくれたのは、この町で育てて貰ったものだから。